交通業界でのXR技術活用が進んでいます。JR東日本グループは、高輪ゲートシティ駅近くの鉄道遺構公開に際し、AR/VR技術を活用した展示方法を検討中です。またJR西日本は、福井県エリアへの「観光周遊型XRバス」導入を発表。交通各社はXR技術を取り入れることで、移動手段だけに留まらない新たな事業創出を目指しています。
(出所:JR東日本 )
鉄道遺構×XRの取り組み
5月31日、JR東日本グループは高輪ゲートウェイ駅周辺一体を「TAKANAWA GATEWAY CITY」と名付け、「100年先の心豊かなくらしのための実験場」とする構想を発表しました。
本構想では、1872年に敷設された高輪築堤の遺構展示を起点に、約150年間における鉄道事業の歩みを発信する施設を設置。周辺には、オフィスや商業施設が入居する複合ビルや、高層マンションなどが建設される予定です。
高輪築堤遺構の展示ではAR/VR技術を活用し、遺構の上を車両が走る様子をバーチャル空間で再現する取り組みが検討されています。なお、高輪築堤遺構は2027年度公開の見通しです。
交通拠点を「つながる」空間に
また、JR東日本は「Beyond Stations 構想」を掲げ、上野駅、秋葉原駅、新宿駅に大型曲面サイネージやXR体験が可能な商業スペースを設けるなど、鉄道駅を「イマーシブなメディア空間」に変貌させる計画を発表しています。
(出所:JR東日本 ※2024年春開業予定の秋葉原駅中央改札外のイメージ案。変更の可能性あり)
観光周遊型XRバスを観光資源に
一方、JR西日本は福井県エリアへの「観光周遊型XRバス」の導入を発表し、JR東日本と異なる形でのXR技術活用を進めています。
「観光周遊型XRバス」は、JR福井駅を拠点に県内の主要観光地を結ぶ新規路線で、2024年夏に運行開始予定。ARコンテンツを現実の車窓風景に重ね合わせて表示させたり、観光地にまつわるVRコンテンツ演出で、新たな観光資源を開拓する狙いです。
JR西日本は観光周遊型XRバス導入に際し、「バス車内に設置するXR設備を開発・保有する特別目的会社(SPC)を、株式会社JR西日本イノベーションズや福井銀行グループなどによる共同出資で設立する」と明らかにしています。
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